中高年の人々が感慨たっぷりに「タツロー…」と呼ぶ時、そこには万感の思いが含まれている。若い世代だと『クリスマス・イブ』(JR東海の1998年クリスマス・キャンペーンCMソング)かも知れないが、日本のポップス黎明期を体験してきた大人世代にとっては、山下達郎はカリスマ。洋楽の香りを日本人が日本語を使いながら表現できるんだ、と思い知らせた日本ポップスの希望を体現した偉人。
また一人多重録音コーラスの第一人者であり、大人のロック&ポップス名曲を数々生み出した彼。有名どころはこんな感じ。
『踊ろよ、フィッシュ』(1987年)※最近またスバル・インプレッサCMソングとしてオンエア中。
『RIDE ON TIME』(1980年)
『あまく危険な香り』(1982年)
他に『高気圧ガール』(1983年)、『GET BACK IN LOVE』(1988年)『アトムの子』(1992年)など多数。さらに奥様は竹内まりやで、そのプロデュースは全て山下達郎が手がけた。
またジャニーズ・アイドルへの楽曲提供もこなす実力派。近藤真彦『ハイティーン・ブギ』(1982年)やKinKi Kidsのデビュー・シングル「硝子の少年」(1997年)などが彼の作品。
タツローの原点がここにある、シュガー・ベイブの名盤「SONGS」
そんな山下達郎のデビューは、後に実力派ヴォーカリストとして君臨する吉田美奈子らと組んだSUGAR BABE(シュガー・ベイブ)であり、そのデビュー・アルバムが『SONGS』(1975年)だった。それこそ当時はまだ珍しかったテンションコードをバリバリに使い、まさに憧れの洋楽を日本ポップスとして生まれ変わらせたその腕前に音楽ファンはうなった。
ただ当時はまだ無名で、荒井由実(松任谷由実)の名盤『MISSLIM』にコーラス参加したことからコーラスグループと勘違いされていた面も。
ちなみにこの『SONGS』には後の1980年にEPOがフジテレビ系『オレたちひょうきん族』エンディングテーマとしてカヴァーしてヒットした『DOWN TOWN』が含まれている。
そして今回紹介するのは、それを2枚組豪華盤に仕立てあげた『SONGS〜40th Anniversary Ultimate Edition〜』(ワーナーミュージック・ジャパン 8月5日発売)。
Disc-1にオリジナルトラックの2015年リマスター音源+ボーナストラック、Disc-2には40年前の音源を最新技術でリミックスしたオリジナルトラックの2015年リミックス音源+ボーナストラックを収録。豪華ブックレットも付属予定だとか。
日本のロック&ポップスを語る上で欠かせない名盤『SONGS』。音楽ファンならきっちり押さえておきたい。