音楽雑誌編集長を20年以上やってわかった「今さら聞けない音楽の効能4」

音楽は最高だという人は少なくないけれど、具体的にどういう効能があるかはあまり語られていない気がするのでまとめてみる。数あるエンターテイメントの中で、音楽を趣味とすることにどんな得があるのか。

思い出作りという言葉がある。
ごく簡単に卒業旅行などを指すことも多い。つまり思い出すことを作ろうということだ。
何らかのアクションがなければ、思い出は残らない。従って、良くても悪くても事件が起これば起こるほどいい。

人間は感情をどん欲に消費する生き物

人間は思い出すことが幸せだ。
辛い思い出も思い出すことによって、大抵のことは甘い味となる。
その時に明らかに苦痛しか味わっていなくても、振り返ればほとんど全てが“良き思い出”になり得る。
その時に味わっているのは何か。
それは感情である。
その時に味わった感情を反芻して楽しむ。苦いゴーヤが美味しいように、苦味を楽しんでしまう。
そして底には少なからず感動がある。

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これを感情生活と呼ぼう。
人間が味わう幸せの基準は様々だが、基本はどれだけ多くの感情を味わうことができるかで判断することも出来る。
経験が多いということは、抱いた感情の数も多いということ。
それは思い出す感情も多いことになる。

死の床にあって走馬灯のように横切る思い出は、多ければ多いほどいい。
辛いこと、悲しいことでも思い出すことによって良い感情があふれだす。
そして感動の引き金となる。どれだけ金を稼いだかではなく、どれだけ人生で感動できたかが冥土の土産。

死の床にあっては、お金持ちより感動持ちの方が勝つ。
思い出すこと自体が大きな快感になるのは、大きな話題となった鉄拳のパラパラ動画「振り子」でもわかるだろう。

この動画の感動ポイントはずばり「いろいろありました」である。
いろいろあったことそのものに人間は感動するのだ。
そこに描かれている愛の形跡に。

ところが正直人間が体験できる感情には限界がある。
ジェットコースターのような人生を歩む人も少ない。
実際に波瀾万丈の人生を歩んでいる人でも、バリエーションはその人の人生で抱く感情に限られる。
でも人間はお腹が空くように、毎日のように感情に飢える。
そんな時に映画を観る人もいるし、テレビに向かってミヤネ屋さんに話しかける人もいる。
商店街で店主に天候を聞いたり、友だちにLINEメッセージを送ったり、RPGゲームで徹夜したりもする。

刺激に飢えるということは、感情に飢えるということ。

そこで登場するのが音楽だ。
世の中にはたくさんのエンターテイメント/芸術があるが、それは感情(感動)の消費。
感動なくしてあらゆるエンターテイメント/芸術は無意味だ。
新しい感動を与えてくれるからこそ、お金を払ってまでそれをゲットしようとする。
そうした時に、猛烈にお手軽なのが、音楽なのである。

効能その1●5分未満で即感動、お手軽な感情消費が可能!

通常1曲は3〜5分。そこに1個ずつ感動が入っている。CDが全13曲収録なら、13感動。
もちろん全ての曲に感動できるとは限らないので、実質はもっと少ない数になると思うが。

それでも気に入った曲をプレイリストなどに抽出することによって、打率は上がる。
iPhoneなどは数千曲単位で感動を持って歩くことが出来る。これがお手軽でなくて何だろう。

ヘッドホンさえあれば、街なかで思いついた時にすかさず感動出来る。
映画などではそうはいかない。2時間近く拘束されてしまうから気軽ではない。

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効能その2●耳だけ使って何かをしながらでも感動できる!

映画にしてもゲームにしても、目と耳が必要だ。ゲームだと手先も必要。
しかし音楽はプレイボタンを押したらあとは放置でいい。
何といってもすごいのが、何かをしながら楽しめるということ。
人は勉強しながら、すし詰めの満員電車に揺られながらでも耳だけで音楽を楽しめる。

車窓から見える景色を哀愁たっぷりに見えるようにしたり、人混みを歩く人々がみんなハッピーに見えるような選曲にすることも可能だ。

効能その3●究極モバイル! いつどんな時でも脳内で再生可能

例えば刑務所の独房に入れられたとしても、覚えている曲があれば、脳内で再生して楽しむことが出来る。究極のモバイル。鼻歌を口ずさむという肉体再生も可能。

映画や小説を丸暗記するのはなかなかにキツイが、ポップな音楽ならば自然と記憶してしまうもの。

効能その4●何度でも楽しめる

映画を2度観るのはけっこう大変。一度クリアしたゲームをもう一度チャレンジするのも気のりはしにくい。
だが音楽は「飽きる」までは何度でも楽しめる。
さらに一度忘れかければ、再び新鮮な感動を得ることも出来る。

 

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このように音楽を趣味にすることは少なからずお得なポイントがある。
音楽は手軽な感動・幸せの小分け袋。個別包装のアソートパックのお菓子のようにいろいろな感動を実に気軽に楽しむことが出来る。

特質としてはかなり直接的に感情をいじることが出来るのが音楽。
その仕掛けには「コード」という魔法のツールが重要な役割を占めているのだが、それはまたの機会に。

この記事の著者

編集長(夫)

「ゲッカヨ・オンライン~月刊歌謡曲●電子版」編集長。元・音楽雑誌「ゲッカヨ(旧・月刊歌謡曲)」編集長。現在はエンタメ〜商品レビュー、政治経済まで扱うライター業がメイン。「おためし新商品ナビ」編集も担当。

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